人間に対する深い洞察と天地への考えを垣間見る:『易経』 100日ブログカウントダウンマラソン59日目
今週のお題「人生に影響を与えた1冊」
人生、とはいえ仙崎はまだそれほど多くの人生を生きてはいない。四半世紀も生きてはいないので、それほど人生経験がある訳でもなく、長い道程を歩いてきたわけでもない。
だが、自分の人生に最も影響を与えたのではないかと思っている本が1冊――正確には2冊――ある。『易経』である。
知ったのは中学生の頃だった
『易経』という書物があることを知ったのは中学生の時だった。たまたま図書館で見つけたというのもあるし、当時中国の歴史関係の小説を大量に読んでみようと思い立って読んでいたというのもある。しかも、その小説で取り扱う範囲が殷王朝~周王朝への変遷に関わるもの、であったのである。つまり、『封神演義』である。
この小説を読んで易の思想があったことを知り、また同じ図書館に『易経』が入っていたこともあって読み始めることとなった。後に書店で見つけて購入することになる。
謙虚であれ、物事は移り変わるものであることを知れ
岩波文庫の『易経』では、64の卦について一つ一つ漢文と、それの書き下し文、日本語での解説が与えられていた。中学生にとっては非常に親切な設計である。
今では書き下し文も、その原文である漢文も読めば大体意味が分かるものだが、当時の仙崎は日本語の解説をメインに読んでいた。
それでも、当時の自分と、今の自分に至るまでに与えた影響は大きいと思われる。
まず、謙虚でいることの大切さを知った。どうやら卦には色々と種類があり、更にその卦にも読み方が複数あるらしい。そのそれぞれを読み解いていくと、「謙虚であれば物事が悪化することを防ぐことが出来るかもしれない」パターンが多く存在するのである。謙虚でいることで周りからの助けを得られる、自分の主張が通る云々…、謙虚でいることの大切さは殆どこの本から教わったものである。
そして、万物は移り変わるもので、ずっと不運が続くものでもなければ、ずっと幸運が続くものでもないことも知った。卦の中には瑞兆を示すものもあれば、そうでないものもある。かなり良い卦もあれば良く無い卦もある。そして、良い卦も読み方によってはあまり良く無い意味もあり、「耐えて過ごすべし、時期を待つべし」といったアドバイスが加えられる場合もある。これらの卦から人生も含めて何事も移り変わるものだと知った。それを知っているのといないのとでは、不運に遭遇した時、何をやってもツイていない時の心構えが大きく異なる気がする。
易経のおかげか
中学生の時に『易経』の上巻を読破し、下巻の途中まで読んで、そのまま飛ばし読みをして放置しているのだが、上記の事柄をこの本を通して知ったおかげか、トラブルに巻き込まれても動じなくなり、また良いことがあったり自分の実力が認められた際も調子に乗ることがなくなったように思われる。結構いつでも自然体で落ち着いていられるような気がするのである。気のせいかもしれないが。
そして、『易経』に描かれている古代中国の自然観や人間を取り巻く状況に対する意見などから、当時の人々が自然や宇宙、人生をどのように考えていたのかを少しは知ることが出来る二冊であると仙崎は考えている。少なくとも単なる占いの本ではない、と仙崎は断言する。
59日目。