13面体の賽子

最後に決めるのは自分だ。断じてサイコロではない。

人間の愉しい一面:数学はあなたのなかにある~

数学はあなたのなかにある

 

数学はあなたのなかにある

数学はあなたのなかにある

 

 昨日図書館でこの本がたまたま目についたので借りることにした。

 

薄い本だったのですぐに読み終わったが、内容は薄くなかった(ありきたりな表現かもしれないが、本当のことである)

 

先程Amazonで検索してびっくり。

 

発売日が誕生日と同じなのである。

 

 

そんな偶然は置いておいて、内容について読了の興奮冷めやらぬ内に書き綴りたいと思う。

 

 

四角くコマで割られた中に、黒と赤、白を使ってシンプルな絵が描かれており、それぞれのコマの下に日本語とフランス語で文章が書かれている。

 

 

タイトルには「数学」と入っており、各章で数学の話をしてはいるが、実際「数学」というよりも「数学を通して人間・世界をみた哲学」の話をしているといった方が適切なのではないかと思われる。

 

 

まず「計算のはじまり」という章で衝撃を受けた。

 

あまり「〇〇人的」とか「〇〇人ならでは」という表現は使いたくないが(ステレオタイプに陥ることなく人間の一般性を抽出することは困難なことに違いない)、フランス人はこうも美しく数学と愛の営みを表現できるのか!と幸せな気分で驚きに浸ることが出来るのだ。

 

「関数のはじまり」という章ではxにとってyは相棒であり、自分を映す像であると表現している。関数の形によってどのような関係にあるか(どんな像を映すか)が変わる様子をユーモアに溢れた語り口で説明している。

 

f(x)=xの場合

この相棒yは、まったく同じ姿しか見せてくれない。

客観性が第一なのだ。いっしょにいても、自分を相手にすることになる。

f(x)=-xの場合

この相棒はネガティブな傾向。

f(x)=x²の場合

超ポジティブで、xに良かれと願っている。

―『数学はなあなたのなかにある』p51より

 

各章にある「まとめ」や「覚えておこう」「応用問題」という欄も数学の教科書っぽくて楽しいが、そこに書かれているものは数学であるようでもあり、人間そのものについてを表しているようでもある。

 

100ページに満たない本ではあるが、その内容は著者の機知に富んでおり、人間や数学について考えさせられる本である。